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明治鬼恋慕
第16章 吐露
リュウを失った時の…果てのない虚無を、もう二度と味わいたくなかったから。
「お前の気がすむまで」
「本気なの……!?」
「…っ…何度も言わせんな」
焔来の両手がリュウの首の後ろへ回り、そっと頭を引き寄せる。
視線をそらすことを許さない──まばたかない目を向けながら、二人の顔が近付いた。
互いの吐息が、前髪を揺らす。
それでも瞼は下ろさぬまま……唇が触れる瞬間に
やっと目を閉じて、目尻から押し流された水晶がひとつに溶け合った。
数多の感情で震える肌を、伝い落ち──。
───