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明治鬼恋慕
第17章 冬風
政府は次なる混乱を危惧していた。
何故ならば、先の戦いで反乱を起こした者たちの中には士族以外に──「鬼」が紛れていたという報告を受けていたからだ。
明治政府が積極的に進めてきた「鬼狩り」政策によって仲間を殺された者。どうせ殺されるのを待つくらいならと戦いを選ぶ者。
これを火種に、国中の鬼が攻めてくるようなことになれば…
果たして政府は迎撃できるのだろうか。
敵の数と能力は未知数であり、恐れの対象としては十分であった。
よって西南の役は、転換の契機として働く。
" 鬼狩リハ万事、上手ク進ミ、スデニ鬼ハ壊滅二イタリ。此レヲモチ討伐ヲ終エントス "
そもそも既に政府の軍事力が国中に知れ渡った今となっては、" 見せしめ " としての価値が鬼にはない。
その判断も合わさっての幕引きだ。
長い鬼狩りの歴史はこうして終わりを迎えたのだった。
───…