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明治鬼恋慕
第3章 擬態
「僕は焔来のためになら、何者にでもなるんだからね…?」
「…っ…リュウ」
「それとも女のほうが好きなの?」
「……馬鹿」
喉を通った酒が甘い。
ついでに、目の前で悪戯っぽく笑うリュウの声も…格段に甘い。
「僕にも飲ませてよ」
「ハァ……仕方ねぇな」
リュウの押しに弱い焔来は、やれやれと溜め息をつきながら自らも酒を含んだ。
…そして同じ様に飲ませてやる。
触れたリュウの唇は、やはり女の物のように柔らかくて頼りなかった。
「…ん、美味しいね」
「だろ? だ、か、ら、さっさと普通に飲もう」
「…クス、ああ、そうしようか」
機嫌を直したリュウはやっと焔来から離れて、彼の隣に腰を下ろす。
この甘えたな生き物が数刻前には、大の男を相手に木刀を振るっていたかと思うと信じられない。