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明治鬼恋慕
第3章 擬態
「そう言う焔来も、すっかり男に擬態したね」
「ん……まぁな」
リュウの言うとおり今の焔来は確かに男だ。
数年前の、少女と見分けの付かない華奢な手足はとっくに失われ、しなやかな筋肉を持つ男の肢体に近付いていた。
大きめの目はくっきりとした切れ長の二重瞼で、漆黒の瞳が堂々としている。
背はリュウよりも高く、肌も健康的に焼けている。
リュウを「綺麗」と形容するなら
焔来は「男前」とするのが似合うだろう。
「不思議だよね。君は僕より年下の十七歳なのにさ。…僕の擬態が遅いだけかな」
「…さ…さぁ。個人差くらいあるだろう」
「早く焔来に追い付きたいよ」
…だが結局、喧嘩になるとリュウのほうが強いのだから複雑だ。