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明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り

ワオーーン!!
「──お!?」
そして千代の大声に続いて、犬の咆哮( ホウコウ )。
驚いた焔来が飛び上がる。
「──…ッ…シロ! 脅かすなよ!」
「あれ、シロも来たの?」
千代の陰に隠れていた白色の犬が、焔来を威嚇しながら彼女の足元から出てきた。
「なんでお前がいるんだ」
ワン!ワン!
「なーにが気に食わねぇ? そんなに俺が嫌いか」
ワン!
律儀に返事をする白犬に、焔来は腕をまくらん勢いだった。
…そう、この白犬はリュウと出会った日に焔来が見つけた仔犬だ。
野良だった仔犬を千代が家に持ち帰り、こうして育てている。
今では仔犬の面影もなくなり、何故か焔来に敵意をむき出す憎らしい奴だ。
「シロも来るの?」
足元から離れないシロに千代が問いかけると、およそ同じ犬とは思えない可愛らしい声で返事をする。
そして彼等は目当ての芝居屋まで仲良く…を念頭におきながら歩いて向かった。

