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明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り
──
「お待たせっ、焔来」
「…あ、千代様……って、あれ…」
村の南西に構える名主の母屋の前で待っていると、焔来のところに娘が駆け寄ってきた。
いつもと異なり色が入った着物をまとい、肩に打掛けを羽織った千代を見て焔来は戸惑った。
「…めかしこんで、何処に行くんです?」
「もう…// ばか…」
頭から足までをまじまじと見てくる彼に、千代は顔を赤くして唇を尖らす。
上目遣いで焔来を睨んだ。
「……!?」
「焔来ってば鈍感……」
「え、何か言いました?」
「ばかーー!」
家の前で大声を発した名主のひとり娘に、周囲で立ち話をしていた村人たちは一斉に注目した。