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明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り
隣の家のぉ、娘が消えた
向かいの家から、女房消えた
「…焔来…っ、焔来? ねえ!」
「……」
ひとり……
ふたり……
また、ひとり
「──…ッ…ちが ぅ」
「待って! どこに行くの!?」
舞台に掲げられた演目の旗──。
それを目にした焔来の様子が急変し、そして彼はその場から逃げ出した。
“ 違う──…ッ、そうじゃない ”
和太鼓の音に追い立てられながら
千代の声すらも無視して一目散に駆け出した。
ドドン、ドドン
“ やめてくれ…っ ”
必死の形相で逆行する焔来を誰も気にかけず
皆の視線は舞台上の役者に釘付けであった──。