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明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り
ああ…やっぱり、そうだよな
そりゃあ、その反応が当然だ
「──…帰るぞ」
「うん」
焔来がリュウに合図して、二人は小川から離れた。
村へと道を引き返し…未だに動かない千代を置き去った。
焔来はもう泣いていないが、その瞳は失望の色で染まっていた。
千代を責めてのことではない。
無謀にもいだいていた希望の欠片が、いかに浅はかであったかを思い知らされただけのこと。
クゥン
シロが二人のすぐ後ろを付いて来る。
リュウが足元のシロへ静かに命じた。
「…君は…千代様のそばへ行くんだ」
彼の言葉が通じたのか、シロは回れ右で川へ戻る。
泣いている千代の姿を、リュウはちらりと遠目に確認しただけだった。