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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第8章 痴漢編 2-1
クラスは違うが、彼女とは時々話をする程度の友達
だった。
悪い子ではない、と思ってはいるが噂話が好きな奈
菜の事を、瑠璃はあまり好きではなかった。

初めは可愛い子だなぁと思い、明るく話すのを見て
好印象を持ったのだが、慣れてくると、あの子がこ
んなことを言ってたんだよとか、あんな人と付き合
ってるなんて変だよね、などの話を平気でしてくる
様になった。

だから、最近は奈菜の事を避けるようにしていたし
、今まで一緒に通学をしたことも無い、この駅で話
しかけられるのも初めてだった。

瑠璃は内心、参ったなぁ・・・と思ったが顔には出
さないようにして挨拶をした。

「お、おはよ・・・珍しいね、ここで一緒になるな
んて・・・」

奈菜は階段を下りてくる人達の邪魔にならない様に
瑠璃の隣に並んで微笑むと、それがさぁ・・・
と話し出した。

「道路が渋滞していて、バスが時間通りに動かない
んだって。だからしょうがなく電車にしたの。
瑠璃は?今度の電車に乗るんでしょ?どうして階段
に立ってるの?ホームに並ぼうよ、ね」

いきなり強引に瑠璃の右手を握ると、ホームに降り
ようとする奈菜にムッとしたが、優しい口調で話し
かけた。

「ま、まってよ。私、人ごみって苦手なの。だから
もう一本後の電車にするね」

奈菜は手を握ったまま驚いた顔をしたが、やがて悪
戯っぽい顔で見つめてきた。

「え、遅刻しちゃうよ?あ!分かった。ひょっとし
て、痴漢されるのが嫌だから、じゃないの?」

無邪気な可愛い顔だが、目をじっと見つめどこか探
る様な視線を送ってくる。
瑠璃は動揺を隠せなかった。

「あれ?まさか痴漢にあったことがあるの?」

たたみかける様な奈菜の言い方に思わず、やめて!
と大声で叫びだしたい気分を我慢して、瑠璃は笑っ
た。

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