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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第14章 禁断 編 2-1
「選手選考大変ですね。それじゃ、前川先生、お先に失礼します」
私以外で放課後の体育教官室に残っていた最後の体育教師が、挨拶しながら
部屋を出て行った。後姿に、お疲れ様でした、といつもの様に軽く頭を下げ
て返事をする。誰もいなくなった静かな部屋で閉じられた扉を見つめながら
、溜息を一つ付いてしまったが、しかし自然にニヤケテきてしまう表情を押
さえることができない。
ふふっ、今年もお楽しみの時期になったな・・・
また美味しい思いが出来るといいなぁ・・・
去年、進路指導の相談を受けながら、大学側との繋がりを持っている立場を
利用しての複数のHな指導を思い出して唇を舐めまわしてしまう。
そろそろ、彼女が来るころだな・・・
先程まで真剣に頭を悩ませて見ていた資料をかたずける事にする。

3年生にとっては高校生として最後の大会となる体操競技会の団体戦メンバ
ーを決めなければいけない時期だった。個人戦の出場者を決めるのとは違っ
て、団体戦のそれは容易ではない。全種目を終えたメンバー全員の合計得点
で勝敗が決まるため、団体戦独特のプレッシャーに負けない強い気持ちが必
要とされた。
その為個人戦の出場者をそのまま使えばいい、そう言うものではないのだ。
一発狙いの高得点は出せなくても、確実に計算できる点数を稼いでくれる選
手も必要になってくる。
今回は久々にレベルの高い選手達で試合に臨め全国大会も狙える為、選手選
考はより難しいものとなっていた。

部屋のドアをノックする音で我に返り、ハッとして時計を見ると約束の時間
になっている。
今年はどうなるのか、楽しみだな・・・
だらしのないニヤけた顔をいつもの表情に戻した。
「どうぞ、入りなさい」
「田中 雅です。失礼します」
良く通るしっかりした声。しかし若干緊張感も感じさせる表情で、体操部3
年の女子生徒が部屋に入って来た。
内心ほくそ笑んでしまう。緊張していることが分かる。
美人の緊張している顔、いいねぇ・・・
またニヤけた顔をしてしまいそうになるのを我慢して、部屋の中央に用意し
ておいた椅子に座ることを勧めた。
彼女は持っていたバック等を先に床に置くと、軽く頭を下げた後、お尻側の
スカートを手で押さえながら流れる様な動作で椅子に浅く腰を降ろした。
背筋を伸ばし、まっすぐに見つめてくる。
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