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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第16章 ストーカー(僕の彼女)編 1-1
瑠奈の住んでいるマンションはイルミナージュ、という。地域の不動産
情報に空き部屋の募集が載っていた。今空いている部屋は1階だけだ。
当然部屋の間取りが記載されているけど、念のために電話をして確認し
てみることにした。

「イルミナージュの1階の空き物件なんですけど、見学はできますか?」
「はい、見学は出来ますけど、そのお部屋は現在前向きに検討されてい
るお客様がいらっしゃいます。更にそのキャンセル待ちのお客様が1名
いらっしゃいます」
「そうなんですか・・・。人気がありますね」
「はい、あのマンションは学生の方達に大変好評なんです」
それはそうだろう、と思う。
あの場所からなら、いくつかの大学や、瑠奈のように高校へも通いやす
い。建物周りにはお洒落なお店が多いし、街灯も多く夜でも明るいから
帰りが遅くなっても安心だろう。安いことで有名なスーパーもあるし、
カジュアルなレストランもある。
「では、見学だけでもお願いします。それと出来れば3階がいいので空
きそうであれば連絡を頂きたいのですが」
「そうですねぇ・・・そう言ったお願いは受付はしていないんですが・
・・」
「いや、もちろん同じ家賃で、とは言いません。高くなっても上の階が
好きなので」
家賃の値上げを切り出す客は滅多にいない。少し待って欲しい、と相手
は言ってから保留になった。暫くして、今回だけ特別にお受けいたしま
す、と伝えてくる。
ダメ元でも言ってみるものだった。瑠奈の隣にどんな人が住んでいるの
かは分からないが、もし隣に住むことができたら、2人の仲は更に深ま
るだろう。
その可能性を少しでも上げることが出来て良かった。

そして、実際に部屋の見学をさせてもらうと色々なことが分かってきた。
全部の部屋が同じ間取りであり、インターネットは各自ルーターを用意
して利用する。お洒落な外観とリフォームされた室内に似合わず、エン
トランスはオートロックでは無いし、部屋の鍵はディンプルキーだった。
暗証番号を入力したりする最新の設備ではなくてホッとする。
中に入って色々と説明を受けるが、それよりも瑠奈の為に防犯用のカメ
ラ等が取り付けられるか、のチェックをすることが優先だった。
リビングと脱衣所、そして寝室には十分にその場所があることが分かっ
た。電源も取れそうだ。
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