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女子大生 水野果歩
第142章 女子大生 水野果歩(142)

果歩 (・・・・友哉・・・・)


鳴っているのは確かに果歩の携帯電話で、その着信音は彼氏である友哉専用に設定しておいたものだった。


♪~~♪~~♪~~


裸の男女がいるだけの静まった部屋に響く電子音。


富田 「・・・・彼氏か?」


富田の問いに果歩は黙ったまま小さく頷いた。


♪~~♪~~♪~~


以前なら聞こえれば嬉しくて堪らなかった着信音が今は違う意味で果歩の鼓動を速くさせている。


果歩 (友哉・・・私がメール返さなかったから電話してきたんだ・・・)



『こんな風に毎晩他の男とSEXしてるんだもんなぁ、彼氏君が知ったらどう思うんだろうなぁ?』


さっき富田に言われた言葉が果歩の心の中で繰り返し再生される。



富田 「出なくていいのか?」


果歩は富田の言葉にブンブンと首を横に振る。

そんな事は果歩にできる訳がなかった。電話に出たところで友哉とまともに話なんてできっこない。

果歩は今、ホテルの一室に男と2人っきりでいるのだ。

それも果歩は裸で男も裸、ベッドの上で2人は性行為の真っ最中なのだから。


♪~~♪~~♪~~


今の果歩の戸惑う心情とは裏腹の陽気な着信音。

友哉の笑顔が頭の中に浮かぶ。

富田の言うとおり、友哉は果歩が他の男とSEXをしているなどと夢にも思っていないだろう。


〝果歩・・・俺と結婚してくれ〟


先週友哉に電話で言われた言葉。


・・・友哉は幸せを約束してくれたのに・・・私・・・


友哉は果歩と富田の現状を知ったらショックを受けるだろう。

結婚してくれとまで言った相手が、浮気をしていたのなら当然だ。

しかし果歩はいずれこうなる事は分かっていた。メールを返さなければ友哉は心配して連絡をしていくると。そして自分はきっと友哉のまえで上手な嘘などつけないと。

分かっていたのに、その現実から逃げるようにSEXの快感に溺れたのだ。

友哉から電話が掛かってくるのがずっと怖かった果歩。

どうしようもなかった・・・。

果歩は自分ではどうしようもなかったのだ。

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