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女子大生 水野果歩
第182章 女子大生 水野果歩(182)

康介 「・・・お母さん・・・大丈夫?」


智恵 「・・・ぇ?あ、うん!ごめん康介・・・お父さん今日も遅いみたいだから・・・2人で先に食べちゃおっか。」


智恵は康介に見えないように目を擦ってから、笑顔を作ってそう言った。

康介はそれまでにも何度か母・智恵の涙を見た事がある。

そういう時はいつも康介は智恵に抱きつきに行って、智恵も康介を抱きしめながら、小さな声で康介にありがとねと囁いた。



智恵 「フフッ、今日は具沢山のお味噌汁だからきっと美味しいわよ。」


智恵は味噌汁を口に運ぶ康介を見ながらそう言うと、自らもお椀を手に持って味噌汁に口を近づける。


智恵 「・・・ん?なんかこれ・・・あらヤダ!私また出しを取るの忘れて・・・はぁ・・・全然美味しくない・・・。」


智恵はまたも同じ失敗を繰り返してしまった自分に、落胆の表情を浮かべていた。

しかし康介はそんな智恵の落ち込む様子を見ながらも、黙々と味噌汁を食べ続けている。


智恵 「康介、いいわよ無理して食べなくても、お湯に味噌を溶いただけの味噌汁なんて美味しくないでしょ?はぁ・・・嫌になっちゃうわ、お母さんドジだから・・・」


康介 「ううん、お母さんのお味噌汁美味しいよ。お母さんのお味噌汁、僕大好きだよ。」


智恵は笑顔でそう言う康介に少し驚きながら、そして笑顔を作って康介の頭をそっと優しく撫でた。


智恵 「・・・ありがと、康介。康介は優しいんだね・・・お母さん嬉しい・・・。」


目に涙を浮かべる智恵を見た康介が「お母さんも泣き虫だね」と言って2人で笑った。



その日の夜、眠れなかった康介は子供用の小さな布団から出て智恵の布団の中に潜り込んだ。


智恵 「どうしたの康介?もう1人で寝れるんじゃなかったの?」


康介 「・・・・・。」


康介は黙って智恵に抱きついて、智恵の横で目を閉じた。


智恵 「仕方ないわね康介は・・・甘えん坊さんなんだから。」


智恵は微笑みながらそう言って康介を布団の中で抱きしめる。

父・敏雄はまだ帰ってきていないようだった。


智恵 「・・・お母さんも・・・寂しい・・・」


智恵がボソっと言ったその言葉は、母親の温もりに包まれながら目を閉じている康介の耳にも、しっかり届いていた。

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