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女子大生 水野果歩
第183章 女子大生 水野果歩(183)
いつもなら幼稚園のバスから降りると母・智恵が優しい笑顔で家の前で待ってくれているはずだったが、その日はなぜか家の前に智恵の姿はなかった。
保母さんが康介に「お母さんいないね、康介君お家には入れる?」と聞くと康介は「うん」と答えた。
康介 「ただいまぁ!お母さーん!」
家の玄関を開けて中に入ると、康介は少し不安そうな表情で母親の名前を呼んだ。
・・・・・・
返事が返って来ない。
康介の目に涙が溜まる。
小さかった不安が一気に大きなモノへと変わっていく。
エプロン姿で忙しく晩御飯の仕度をしている母・智恵の姿を想像して、早足でキッチンに向かう康介。
しかし、そこにも智恵は居なかった。キッチンには冷たい空気が流れ、静まり返っていた。
康介 「お母さーん!どこにいるのぉ!?お母さーん!」
どうしようもない不安に駆られ、震えた声を出しながら、康介は泣きだしてしまう。
と、その時だった。
・・・ガタガタ・・・ゴソゴソ・・・
静まり返っている家の中で、康介は微かな物音と人の気配を感じた。
康介 「・・・お母さん・・・?」
キッチンから出て、そっと廊下に顔を出す康介。
智恵がいるかもしれないという期待と、何か怖いものが出てくるのではないかという不安が康介の胸の中で入り交ざる。
・・・ドキドキドキドキ・・・
・・・ガタ・・・ゴソゴソ・・・
物音と人の気配は、廊下に面した寝室の部屋から感じる。
康介 「・・・お母さん・・・」
・・・ガチャ・・・
ゆっくりと開く寝室のドア。
・・・・・・
智恵 「・・・ぇ・・・康介?」
寝室から出てきたのが智恵だと分かった瞬間、康介は智恵の所へ駆け寄って勢いよく抱きついた。
涙を流しながら抱きついてきた康介を見て、智恵は申し訳なさそうに謝る。
智恵 「ごめん康介・・・もうこんな時間だったのね。」
康介 「ぅぅ・・・お母さん・・・居なくなっちゃ嫌だよ・・・ぅぅ・・・」