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女子大生 水野果歩
第194章 女子大生 水野果歩(194)
果歩 「・・・友哉、今どんな顔してるの?」
友哉 「・・・ちょっと驚いてるけど・・・でも大丈夫・・・。」
果歩 「・・・嘘!・・・嘘言わないで!・・・そんなの絶対嘘だよ・・・ぅぅ・・・」
果歩はそう涙混じりの声を上げて、その場に崩れ落ちるように座り込んだ。
コンドームの箱を握り締めたまま号泣する果歩。
友哉 「・・・果歩・・・」
友哉はそっと膝を曲げ腰を落とし、何も言わずに震えている果歩の身体を後ろからそっと抱き締める。
・・・少しずつ・・・少しずつ・・・元には戻れなくても、少しずつ癒していければ、きっと元気になってくれる・・・
・・・そのためには、果歩の全てを俺が受け止める必要があるんだ・・・
その夜、涙が枯れるまで泣き続けた果歩は、ベッドの中でずっと友哉に抱き締められながら眠りについた。
友哉の温もりや安心できる匂い。
そして果歩は友哉の腕の中で少しだけ感じていたのだ。他の誰とのSEXでも埋まる事のなかった心の中の何かが、友哉に優しく抱き締められる事によって少しずつ埋まっていくのを。
それが何かはまだ分からない。でも、もしかしてそれが本当の幸せというものなのかもしれない。
閉じていた心の中でずっと耳を塞ぎながら蹲っていた果歩。
真っ暗な世界にずっと居た果歩。
出口なんて無いと思っていた。未来は真っ暗なんだと。
富田さんといっしょに堕ちていくしかないと思っていた。
他の人は決して入って来れないような冷たい場所だったから。
しかし友哉は、果歩を探してここまで降りてきてくれたのだ。
こんなに冷たい所まで、心の温かい友哉が降りてきてくれた。
友哉 「果歩、大丈夫だから・・・いっしょに行こう。」
果歩 「・・・・友哉・・・」
果歩に優しく手を差し伸べる友哉。
果歩 「・・・・・」
果歩は後ろにいる富田の存在に、迷い、悩み、苦しんでいたが、そんな果歩の手を友哉は少し強引に、だけど優しくしっかりと握り締めた。
果歩 「・・・あっ・・・・」
そして友哉に手を握られたその瞬間、果歩の目には見えたのだ。
暗闇の世界、その遠くの方へ見える白く輝く光が。
そう、出口が見えたのだ。
そして今、手を握り合った友哉と果歩は、その出口に向かって少しずつゆっくりと歩み始めたのであった。