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女子大生 水野果歩
第196章 女子大生 水野果歩(196)
その時の富田の表情は普通ではなかった。
以前よりも痩せこけ、不精髭を生やし、見開いている目は赤く充血している。
焦点が定まっていないような視線が、富田の異常な精神状態を表しているかのようだった。
果歩 「あっ!」
富田は困惑した表情を浮かべる果歩の細い腕を強引に掴んだ。
果歩の華奢な腕を掴む大きな手には力が入っていて、痛く感じられる程だった。
その力の入り方が、今の富田の心に余裕が無い事を表しているのかもしれない。
富田 「さぁ・・・行くぞ。」
果歩 「ぁ・・・嫌っ!」
果歩の口から咄嗟に出た言葉。
それは富田を拒絶したのではなく、友哉と再構築し始めた幸せが崩れてしまう事を恐れたことから出た言葉だった。
しかし今の富田にはそうは受け止められない。
富田 「・・・ハァ・・・・ぁあ?」
呼吸を荒くしながら富田は充血した目を大きく見開いて、ギロッと目を動かし果歩の顔を見た。
富田の手から離れようと、果歩が抵抗している。
もちろん果歩の力などでは腕を掴んでいる富田の手はビクともしない。
富田 「・・・なんだよ・・・」
果歩を見る富田の目は少し動揺しているようであった。
富田には理解できなかったのだ。自分がなぜ果歩に拒絶されているのかが。
富田 「・・・・・」
しかしその表情は徐々に怒りの帯びたものへと変化していく。
そして富田は果歩を強引に連れ込むようにして部屋の中にドカドカと入っていく。
ガタッ・・・ゴトッ!!!
果歩 「キャッ・・・ァ・・・・イヤ・・・ダメ・・・」
置いてあった買い物袋が富田の足に当たり倒れ、袋の外に出た卵がパックの中で割れる。
富田 「ハァ・・・オラッ!」