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鮮やかな青
第6章 輝く命
その年の正月、毛利家の話題を浚うのは一人の美しい女性だった。彼女を一目見たいと言い出し、ともは本家への同行を願い、元春兄上の妻である新庄局も、また同じく本家へと連れ立っていた。
今回は、少し長い滞在となるだろう。皆、そのつもりで集まっていた。
その女性――兄の妻である寿々(すず)殿は皆の輪の中心で、新たな命が宿る大きなお腹を押さえながらお辞儀した。
「皆様、お気遣いありがとうございます。この子も喜んでいるのか、今日はよく動きますわ」
嫡男である兄の子、それは男児なら本家の世継ぎとなる子である。女児でもこれからの政において大きな意味を持つ、大事な子となるのは間違いない。その懐妊は皆が喜び、力になろうと集まっていた。
今の季節とよく合う淡い青の着物に身を包んだ彼女は、兄と同じく笑みの絶えない女性だった。大内義隆の養女という立場で嫁いできた彼女にとって、今の情勢は思うところがあるだろう。だが不安など一切感じさせず、宿す命を慈しみ微笑んでいた。
「義姉様、ところで肝心の兄様はどちらに?」