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第6章 輝く命

　
「しかし、贈り物は時に無用な諍いも起こしますよ」

「そこは、実際に顔を合わせて判断するしかないさ。下心が混じるなら、それはそれ。なんとかするよ」

　兄は決して、人の悪意を知らない訳ではない。それでも善意を先に考える心情は、私には理解しがたかった。

「さて、つまらない話はここまでにしようか。隆景、ともちゃんがずっと目を丸くしている。今はめでたい時なんだから、気を楽にした方がいい」

　兄に言われて初めて、私はともの表情に気が付く。まだともには難しい話だったのだろう。理解出来ず、頭が追いついていないようだった。

　兄が、なんのために蔵へ籠もっていたのか。義姉様は、察していたのだろうか。祝いの品のあれこれは、最後には義姉様の心に残る。兄は贈った人間の心情を図ると共に、義姉様の身を案じていたのではないだろうか。

　兄は、義姉様をただ一人の妻として深く愛している。元春兄上も新庄局一人だけが妻であるが、それは家族に相談もなく、勝手に嫁取りするほど兄上が彼女に心を奪われたからだ。すぐに子も生まれているし、側室が必要とも思えない。