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鮮やかな青
第6章 輝く命
 
 私も笑みを浮かべていたが、それは誰にでも出来るただの愛想笑いだった。しかしそんな私相手にも、彼女は丁寧に答えてくれた。

「蔵を整理したいと言って、奥に引っ込んでしまいましたわ。お義父様と話をしていたら、しまっていた茶器が気になってきたそうで」

 懐妊したと知らせを受けてから、もう結構な時が流れている。お腹の大きさを考えても、いつ生まれてもおかしくない時期のはずだ。にも関わらず蔵の整理とは、あまりに呑気すぎる。

「まったく、そんな事など部下に任せておけばいいのに……気の利かない兄で申し訳ありません、義姉様」

「いえ、あの人は一番に私を想うから、そんな事をするのですよ。気が利くかどうかと言われたら……まあ、少し寂しい気もしますが」

 どうして蔵の整理が、妻を想う気持ちに繋がるのか。私が疑問に思えば、彼女は苦笑いを浮かべる。それは兄もよく見せる表情で、夫婦揃ってそっくりだった。

 都会からやってきた、洗練された女性。何かと気の強い女の多い毛利家にとって、彼女は貴重な癒やしである。私の目から見ても、彼女は良い女性だ。

 だからこそ、心の底から懐妊を祝えていない自分が、恥ずかしかった。
 
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