この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
鮮やかな青
第1章 兄の存在
 
「お主は若いが、才がある。おそらく元春や隆元殿以上の、名将となるだろう。その働き、期待しているぞ」

 兄達を下げてまで私を持ち上げるとは、陶はどうしても毛利を取り込みたくて仕方ないようだ。義隆と陶の間に流れる不穏、これは近い未来、中国という地を大きく揺るがす――そんな予感がした。

「ありがとうございます。陶様、明日、また改めてご挨拶に向かわせてください。なにぶん今日はこの様でして、陶様とお話するにはいささか不相応です。身を正し、膝を突き合わせたいと思います」

「そうだな、そうしよう。では隆景、また明日」

 ひとまず陶を部屋から追い出す事に成功すると、私は頭を抱えた。明日、本当に私が出向いては近くなりすぎる。ここは父を代わりに向かわせるのが妥当だろう。二人の間が、険悪になっている事も報告しなければならない。生き抜くためには、泣いている隙などなかった。

 父は、別室で休んでいる。が、事態が事態だ。夜中でも叩き起こさなければならない。私は灯りを消すと、襖に手を掛けた。

 ふと思い出し、私は部屋の空気を大きく吸い込んでみる。やはり、この家の夜の匂いは、薄かった。
 
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ