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鮮やかな青
第1章 兄の存在
「……いささか、疲れました。大内様は色を好まれると聞いてはいましたが、田舎侍である私には理解しがたいものでしたから」
とはいえ、あからさまに距離を置いては、元春兄上の顔に泥を塗ってしまう。陶に同調しながらも、深入りしない言葉を探さなければならなかった。
「そうだろう、あの欲は、誰にも理解できん。かつては色を好んでも、先を見誤る方ではなかったのに……」
「こちらへ向かう際に城下を通りましたが、まるで上洛したかのような街並みでした。都のように美しい、ですが」
「気付いただろう? 住む人の顔は、京とは違う。重税に苦しみ、悩む顔だ」
「私は京をよく知らぬので、そこまでは気付きませんでした。しかし何か重苦しいところがあると感じていましたが……それほど、民は悩まされているのですか?」
「年々税は重くなっている。もう限界を超えている事に、未だあの方は気付かれていないのだ」
それは、毛利にとって聞き逃せない情報だ。大内家の強さは、その財力だ。その基盤が揺れているとなれば、いよいよ義隆も危ういかもしれない。
「隆景」
陶は私の手を握り、まるで本当の兄のように振る舞う。