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鮮やかな青
第4章 激動の年
色欲を捨て不犯を貫こうと決めても、体は精を溜め込み重く沈んでいく。業の底に達したその時、私は屹立する自身を慰めずにはいられなかった。
「はっ……兄、様っ」
我慢に我慢を重ねたせいか、身を貫く快楽が余計に心地良い。すっかり色欲の虜となった私が思い浮かべるのは、大内に犯されたあの日の熱。そして、兄の姿だった。
「う……ん!」
巡る快楽に腰が震え、私は絶頂に達する。手のひらを汚す白濁は、心をも汚す。荒れた息を整えた途端、すうっと冷えた頭が思うのは、後悔だった。
一体私は、何のために本家に帰ったのか。歪んだ認識も、抱く不安も戸惑いも、何一つ変わってはいない。何と向き合えば私は正常な人間に戻れるのか、全く分からなかった。
呑気に悩んでいられるのは、ともが大きくなるまでの間だけだ。まったく見通しが出来ない問題を、無事に解決出来るのか。
まだ、陶は動こうとしていない。いかなる欲も光を見出せないまま時は過ぎ、安芸は雪にうっすらと覆われ、静けさを保ったまま新たな年が訪れようとしていた。