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魔法の右手
第6章 優しくしないで
* * *




暫くして、依莉はおもむろに口を開いた。


「…私は……。幸せになる資格が無いの…。」


……人として最低だと思う。
人の不幸の上に幸せは成り立たない。
わかってる…頭ではわかってるけど…。


それでも、大翔は前を向いたまま何も言わずにタバコに火を付けた。




無言の大翔だけど、何も言わず、それ以上問い詰めることもせず、ずっと隣にいてくれる大翔の優しさに、私は涙が溢れてきた。
泣く資格さえない……。今日1日ずっと我慢していたが止まらなかった。



〜ねぇ大翔…優しくしないで…。私にそんな資格無いの…。
いつもみたいに「馬鹿じゃねぇの」って言って。
こんな時だけ優しくしないで…。


「……うっ……っ」

込み上げてきた涙が溢れて止まらなかった。




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