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タワーマンションの恋人
第10章 * シュウタ

どのくらい話して居ただろう。
ラグの上に置いてある小さなテーブルにはお互い飲みかけのアルコール缶。
気がつけばだいぶ砕けた状態で話していた。
「…だからね?この仕事をしてるのも、元を辿ればもうずっと前から決まってた運命なのかなって思うんですよ。…元を辿ればね?」
「まぁ、話を聞くに、だいぶ早い段階であなたひねくれちゃってるもんね、性格が。」
そう言って悪戯っぽく笑うその顔はなんだか少年みたいで。
読めない表情で家にやってきた彼とはまた印象がガラリと変わる。
良くも悪くも、くるくると印象が変わるから、そのギャップに不覚にもドキっとしてしまう。
「ひねくれちゃってるかぁ…。」
「…でも、苦労っていうか、なんていうか。結構大変な思い、してきたんだ。」
「大変っていうのかな、こういうの。」
「華ちゃんは、なんも悪くないのに…分が悪いっていうか、なんかそんな感じ?」
「話をして、そう思ってくれる人が居るだけでわたしはだいぶ救われます。」
彼を見て笑えば、彼もふっと笑って視線を逸らした。
「おもしろいわ、華ちゃんって。」
砕けた様子の彼が笑うたび、初見とのギャップに驚いて、ちょっとは心開いてくれたかな?なんて嬉しくなった。
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