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タワーマンションの恋人
第10章 * シュウタ
「正直ね、俺、この部屋の存在を気味悪いって思ってたんだよね。」
やっぱり包み隠さず言葉を放つ彼。
その話に耳を傾ける。
「一室に女の子が用意されてて、初見でふたりきりで閉じ込められて。女の子たちは、俺達の為にそこに居て。それを当たり前に受け入れてる事が、なんかこえーって単純に思ってたんだよね。」
彼の言葉はきっと常識的な言葉で、きっと真っ当な感覚なのだろう。
「この世界、裏も表も色々あるし?まぁそんな驚く話じゃないけど、目の前の女の子たちって何考えてんだろうって。ここに居ることに理由はあんのかなって。まぁ、普通じゃないじゃんか、この制度。」
きっと各々理由はあるのだろう、女の子が10人居ればきっと10通りの理由がある。
だけど、明確に話せる理由なんてきっとあって無いに等しいのだろう。
「でも、今日華ちゃんと喋って、俺たちを相手にする仕事。っていう建前が、君の心の支えになってるって聞いて、ちょっと気が楽になった。」
お酒はあんまり強くないのだろう、何度か強めに瞬きしながら彼は言った。
「この仕事は、わたしの付加価値なんだと、今は思ってるかな…。」
「…色んな思いした華ちゃんが、その付加価値でちょっとでも救われてるなら、この制度?仕事?もちゃんと存在意義はあるね。多分。」
アルコールのせいか少しだけ頬を赤くさせてふにゃっと笑ったシュウタさんにわたしは質問をしてみた。
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