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タワーマンションの恋人
第11章 * 虚像
「本日のゲストは眩しいくらいにキラキラしてますよ〜!」
MCの女性がそう言った後に、お客さんの歓声が上がっている。
世の中は休日の昼下がり。
流れっぱなしになっているTVからはそんなご機嫌な声が聞こえてくる。
「今、中高生から絶大な人気を誇るこの方でーす!」
ふと画面に目を向けると、余裕の笑みで現れたのは、
「シオン…!」
慌ててTVの前に近づけば、相も変わらずオーラをラメのように振りまきながら喋っている。
「…大活躍の山辺さんですが、本日は新たにお知らせがあるんですよね?」
MCの女性にそう振られるとふわりと微笑み、画面越しにシオンと目が合う。
「はい。来春公開の(君を歌う明日。)の主演、中原あすか役をさせて頂くことになりました。」
「原作は大人気コミックということですが原作者である蓮見さんと監督の西さんから直々のオファーだったとのことですが、プレッシャーなどありますか?」
「大人気コミックということで、プレッシャーもありましたが、直接のオファーを頂けたこと、大変光栄に思っています。みなさんの期待に恥じないよう、精一杯頑張ります。」
そう言って目を細めて笑ったシオンを観て、思わずわたしも笑顔になる。
「現在、撮影中ということですが、頑張ってくださいね!」
「はい。ありがとうございますっ。」
その言葉の後に、映画の詳しい話をするシオン。
表情がひとつひとつ変化する度、眩しいくらいのオーラが放たれているようで。
プレッシャーや不安は微塵も感じられない。
大きな役を演じる自分自身への自信すら感じられるその所作。
「さすがだね。かっこいいじゃん、シオン。」
数日前の彼を知っているからなのか、愛おしさが込みあげる。