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タワーマンションの恋人
第11章 * 虚像
「この仕事終わったら、華のこと、一日中抱きたい。」
「んー?どうしちゃったの?シオンらしくないね?」
笑いながらそう答えると、舌が首筋まで這う。
「っん…。」
「朝から晩まで?っつうか、朝から朝まで華のこと独り占めにして、」
「っ…うん?」
「ずっと繋がってたい。」
熱っぽい声でそう囁く彼と指を絡める。
「うん…。ずっと繋がってよ?シオンでいっぱいにしてね?」
そう言うと彼がキツくわたしを抱きしめて
「約束な?」と呟くから頷く。
「だからお仕事頑張ってね?」
「ん、頑張るわ。」
彼はそう言って伸びをすると、ベッドから立ち上がる。
少しはだけた衣服が艶めかしく彼の身体を浮き出させる。
骨ばった身体のライン、若々しいその後ろ姿に見惚れていると彼が振り返り、ふわりと笑う。
「よしっ。華のおかげでまた頑張れそう。」
その言葉にふと目頭が熱くなる。
わたしは、彼になにかをしてあげられてるのだろうか。
「わたしも、その言葉で頑張れそう。」
そう呟くと、アーモンドアイをくしゃりと黒目いっぱいにして笑った。
完璧な王子様のような彼の少しだけ弱い部分や、甘えたな部分を知れば知るほど、愛おしくなる。
メディアのシオンという虚像から見えた普通の18歳の実像であるシオン。
そのギャップは、こんな仕事をしているわたしをどうしようもなく幸せにしてくれた。