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タワーマンションの恋人
第14章 * 共有
「俺、しばらく来れなくなると思う。」
少し真面目な顔をして言ったのはフミヤだった。
理由は撮影でしばらく地方を行ったり来たりするらしい。
半年足らずで若手が集まるドラマや映画にはかなりの頻度で呼ばれるようになったフミヤは立ち位置もそれなりの役をもらうことが増え、一般認知度が驚くほど上がったように思う。
それを、嬉しいような少し寂しいような気持ちで見守っていた矢先のフミヤからの報告。
「撮影ってことは、1ヶ月くらい会えないってことだよね?」
「うーん。もしかしたら、1ヶ月半〜2ヶ月くらい?」
予想外の期間に動揺して思わず「え?そんなに?」なんて不安な声を上げてしまった。
フミヤと居るとストレスがどこかに飛んでいくような、不思議な感覚があった。
なんでもフランクに話せるし、本当に友達といるような自然体で居れた分、会えない期間が長くなるのは不安だった。
「寂しがってくれんの?嬉しいなぁ。」そう呑気に笑うフミヤに近づいて「当たり前でしょ?」と告げれば手櫛を通すように頭を撫で抱きしめてくれる。