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タワーマンションの恋人
第14章 * 共有
「フミヤ、わたしのこと忘れないでね?1ヶ月、ましてや2ヶ月なんて…長すぎない?」
そう言ってさらにぎゅっと彼の首に顔を埋めるように抱きつくと、爽やかなメンズ向けの香水の香り、うっすら香るシャンプーの香り、清潔感のある柔軟剤の香り、それらが全部合わさった、フミヤの香りを胸いっぱいに吸いこむ。
「忘れるわけないじゃん?本当、そういうとこ可愛よね、華は。」
そう言って唇を重ねれば、安堵がキスを通して身体を満たしていくような感覚。
「ベッド、行こう?」
そう言って彼を見れば、優しい目をしてわたしの前髪をそっと整えて「そんな焦らないでよ。」と触れるだけのキスをしてわたしの手をひきベッドへ向かった。
ベッドに腰掛けると彼は伺うようにわたしに向き直った。
「華、すごく変なこと言っていい?」
「ん?どうしたの?」
彼は少し黙ってからスマホを取り出して言った。
「…華とシてるところ、撮っていい?」
フミヤのイメージからかけ離れた言葉に思わずフリーズする。
頭で何度も反芻してやっと話が繋がって、わたしは口を開いた。
「…もしかして、しばらく会えないから、ってこと?」
「そう。キモいって思うかもしれないけど…俺、華が良いんだ。…いや、本当にキモいんだけど!」
なんだか話すほどにテンパるフミヤを見てると笑ってしまう。
「…今時、いっぱい動画とかあるよね?」
ちょっと意地悪のつもりで聞いてみると「そうだけど、おかげさまで俺、本当に華じゃなきゃ無理で、最近。」なんて答えるからなんだか、可愛くて。
「こんなこと言ったら、わたしも変な人かもしれないけど、ちょっと嬉しいかも。」と彼の髪に触れながら答えた。