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タワーマンションの恋人
第16章 * 甘美
「華、すきだよ。会う度、好きって思う。」
小さな顔が近づいてわたしの唇をとらえる。
ケイタのキスも、変わった。
伺うようなキスじゃなくて、すべてを味わうように深くて甘い。
「だから、こうして会ってる間は…華は俺だけの彼女だ。」
まるで自分に言い聞かせるように言うケイタの声を聞いてハッとした。
「1番最初にケイタが抱いてくれた時…。同じこと言ってくれたね。」
その言葉のおかげで、わたしは今もここで仕事していられる。
この仕事をする中で自分の存在価値を見つけられたんだ。
「ケイタの彼女で、わたし幸せだよ?」
そう言って彼の胸板に身体を預けて、顔だけで振り返る。
「だから、今日は好きにして?たくさん愛して?」
そう伝えると「ほんと、そういうところずるいよ。」と首筋を噛みつかれる。
わたしは、愛がほしい。
その場だけでも構わないから、偽物でも構わないから、愛してほしい。
この仕事は、きっとわたしがずっと求めてたものを、足りなかった愛を補充してくれる仕事だったんだ。
それが一時のものでも構わない。
いつしか、この仕事の中で、そんなことを思うようになっていたんだ。
きっと、だから、わたしは頑張れるんだ。
愛してもらえるように、頑張るんだ。