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タワーマンションの恋人
第17章 * 家族
母が泣きながら謝ってたこと、ユウリが神妙な面持ちだったこと、父も小さい頃のことを振り返って詫ていたこと、色んなことがその夜はあったけど、心の棘が抜けてスッキリしてしまったわたしは妙に落ち着いてしまって。
深夜になるころには母とふたりで紅茶を飲みながら思い出話なんかをしたりして過ごした。
彼らとの仕事をしなければ、こんなことを家族の前で主張できるほどの自信は身につかなかったし、一生ウジウジ抱えていてたんだと思う。
ひとつ、成長できたのかな、なんて思ってわたしは次の日実家を出た。
みんなが成長して変わっていくなか、わたしだけが取り残されるのは嫌だったから。
きっとまたしばらく実家の土地は踏まないと思う。
ここに対する、執着や固執は昨日で消えたから。
帰ろう、いつだって色んなカタチの愛情をくれる、みんなのところに。
わたしに愛を教えてくれたのは、間違いなくあのタワーマンションの恋人たちだから。