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タワーマンションの恋人
第17章 * 家族
「わたし、ずっとユウリが羨ましかった。」
そう口にすると家族が一斉にこっちを向いた。
「いつもユウリばっかり、って思ってた。お母さんがユウリにユウリがちょっとだけ特別だって言ってたのも知ってる。だから、わたしはいらない子で、この家に居場所はないって思ってた。」
ハッとした顔の妹と、察したように悲しげな顔をする両親。
「ずっと、自分のこと可哀想って思ってた。…でもね、今、すごく楽しくて幸せでっ…。」
話していて泣いてしまうのは昔からの癖のはず、だけど、わたし親の前で泣いたのでいつぶりだろう。
いつも、どこか違うところで泣いていた。
もう、ずっと、ここはわたしの場所じゃなかったから。
「だから、わたしをわたしとして産んでくれてありがとうって思えたから…実家に帰ってこようと思えたの。」
そこまで言うと、母がなにかを話そうとした。
だけど、遮って続けた。
「わたし、おかげさまでちゃんと自分の居場所見つけられたよ。」
もうきっと過去にはとらわれず、ユウリと張り合うことなく生きていける。
あの部屋で会う男の子たちは、わたしが思っているよりずっとわたしにとって大切な存在になっていたんだ。
家族で空いてしまった穴を塞いでくれる、家族みたいな存在、自慢の存在。