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タワーマンションの恋人
第19章 * star prince





リビングのソファーで膝を抱えて居ると、人の気配がしてそっと抱き締められる。



『華ちゃん、』


「っ…」


名前だけ呼んで彼はそれ以上なにも言わなかった。


彼の大きな手がそっと背中を撫でて、優しくリズムを刻んでいく。


涙は止まるどころかどんどん溢れて、彼の肩を濡らした。


彼には、言わなくてもきっとわたしの心の中は筒抜けで、だからこそなにも言わずに抱きしめていてくれたのだと思う。







ハルキは、わたしが誰にも踏み込ませないように立ててきた心の壁を安易に越えてきた。
気がついた時には、寄り添うようにそばにいて気持ちを、心を、溶かしてくれていた。


ハナじゃない、本当のわたしの部分に触れていた。
だから、苦しいんだ。
ハナじゃない方のわたしが意思を持って、彼に感情を抱こうとするから、冷静じゃ居られなくなる。




泣き疲れたのか、気がついたら眠ってしまったようで目が覚めるとハルキの膝の上に頭を乗せていた。


柔らかく髪を撫でる彼の手の感覚、ずっとこうしてくれていたのだろうか。
すごく心地よくてまた意識を手放しそうになる。



『いつか、俺がここから連れ出すから。…だからその時は、笑ってくれる?』


優しい声が聞こえたあと、頬に温かい水分が落ちてきた。


『っ…ごめん。辛いよな。』



そう声を震わせた彼がわたしの頬に落ちた涙を拭った。

















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