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タワーマンションの恋人
第20章 * Compatibility




彼はフッと笑って「言ってなかったっけ。」なんてしらを切るから、泣き笑いになる。

「言ってないよ、初めてだよ、」


「俺の好きは、すげーレアだから。覚えておいて。」


そう言われて、頷く。


「シュウタ?」そう呼べは、振り向くように首を回すからその唇にそっとキスをする。



「シュウタが前に、“俺が女優とラブシーンがあってもそれは仕事、華がこの部屋で過ごすのも仕事”って言ってくれたよね。」


「うん、言ったね。」


「その言葉で、わたしはすごく救われてる。少なくてもシュウタの前では、ありのまま、なにも隠さず居られてるんだと思う。」


「俺も演技で女の人とそういうシーンあるし、華の仕事もそれと変わんないって思ってるよ。だから否定しないし、俺達の仕事とさして変わらないって俺は変換してる。だから、後ろめたさとか、お前が感じる必要はなにもないから。」



彼の言葉は、いつだって今の環境のわたしを救ってくれるし、安心して身を任せられる。


「あとは、華の反応とか表情で、俺が特別な存在になれてるかどうか、勝手に判断してる。」


そう言って笑うとまた少し振り向いて「まぁ、身体は、ね?」と含み笑いするから「シュウタくんには敵わないよ。」ときつく背中にしがみつく。


「心も、攻略できるように、追々頑張るわ。」と柔らかく言うから、なにも答えられず彼の首筋にそっと顔を埋めた。


「部屋、入るよ。そろそろ重い。」ずっとおんぶしていてくれた彼が困ったように言うから「うん、ありがとう。」と伝えて頬にキスをした。


「やめろよ、抱くよ?」


「仰せのままに、シュウタ様?」


「なにそれ。」


「シュウタはわたしの中で帝王ってイメージなの。」


小さく笑った彼は「それなら遠慮なく。」とベッドルームに足を向けた。






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