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タワーマンションの恋人
第22章 * romantic rival
撮影は順調に進んで、フミヤより先に前半の撮影を終えて控室に戻る。
鏡の前で乱れがないか確認してると視界の端で何かが光って反射的に視線を移した。
そこにはフミヤのスマホがあって、ハッとして視線が止まった。
メッセージの通知が画面に浮かび上がっていていて
そこには“華”という見覚えのある名前と(お仕事頑張って!楽しみにしてる!)と言う様な内容が見えた。
何故か、心臓がバクバクして目が離せない。
しばらくして画面が黒く消灯してようやく、視線が解放される。
頭の中でなんとなく恐れていたこと、そして、心の中でなんとなく覚悟していたことが現実になっていく感覚に冷たい汗が背中を伝う。
頭では、わかっていた。
華は、俺以外にも色んなタレントの世話をしていること。
だけど、どこかで期待していた。
うっかり華は誰にも見つかってなくて、俺だけが知ってる存在だったら良いな、なんて。
そんなこと、ありえないのに。
だけと、まさかこんな身近に華を知ってるやつが居るなんて。
覚悟ができてなさ過ぎて、動揺してしまっていた。
「よりによって、フミヤかよ…」
フミヤの良いところを誰よりも知っているからこそ、華のそばにフミヤが居ると思うと、どこか気が気じゃない思いに駆られた。