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タワーマンションの恋人
第23章 * double bind
その後、どんなふうにバスルームから出たのか、ベッドまでたどり着いていつ意識を手放したのか記憶は曖昧で。
「シュウタくん…?」
次の日の昼頃に華の声で起きた。
昨日の乱れた姿が嘘みたいに綺麗に支度をして、柔らかく笑っている。
「っ…はよ、」
そう言えばお互い惹かれ合うように唇を重ねた。
「シュウタくん、今日は15時に出るんだよね?」
「ん、そう…」
「そろそろ起きる?」
その言葉に身体を起こせば、彼女がベッドサイドに座る。
「華、昨日いつ寝たか覚えてる?」
「ううん、覚えてない。」
そう言って伏目がちに笑うから、釣られて笑ってしまう。
「身体大丈夫?」
「うん、大丈夫。…シュウタくんのお陰で頭の中スッキリした。ありがとうね。」
「なら、よかった。」
そう言うと彼女は俺の手を握り「お昼ごはん作ったの。食べる?」と言って立ち上がる。
「うん、ありがとう。」
二人でリビングに向えば、もうランチの用意が出来ていて、疲れていただろうに、すごいなと感心する。
「顔洗ってくんね」
あれだけ乱れたはずのバスルームも脱衣所もリビングも寝室も、何事もなかったように綺麗になっていて。
その律儀さとか、変なプロ意識の高さとか、仕事内容の重さとか、彼女を思って小さなため息が漏れる。