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第23章 *　double bind

華ちゃんとは、もっと違う出逢い方をしたかった。
今の彼女を否定する訳じゃない、ただ出身が同じだったなんて、聞いたらさ、もしかしたら通学の電車で出会っていたのかもしれない、とか、大きな地元のショッピングモールですれ違っていたのかもしれない、とか。


そんなたらればを想像して、たまに悔しくなる。


もしもっと早く出逢えていたら、あんな部屋に閉じ込めるような選択をさせなかったのに。


あの部屋で出逢ってしまった俺が言えた義理じゃないんだけどさ。





だから、頑張るって決めた。


もっと大きな俳優になって、もっと事務所に貢献して、認めてもらえるようになったら、俺は彼女をあの部屋から連れ出すんだって。



その為に、今はがむしゃらに頑張るしかないって。