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第23章 *　double bind

「え、シュウタくんとw主演…？え！しかもこの監督…！」


「そうよ、まぁ映画祭の出品作品だから全国ロードショーって訳じゃないけど、この桜井監督の映画に出れるなんて滅多にない話よ！話題性もあるし。」


「もちろん、やります…！」


「シュウタも喜んでたわよ？久しぶりにハルキと仕事出来るって。」



そう言われて奥原さんに渡された台本を眺める。



そこには中原秀太、小森春輝と名前が並んでいる。



自分の隣に並ぶその名前は大好き先輩の名前で。



事務所を移籍した時に、本当に基本的なマナーから教えてくれた人。


そして、舞台の上での表現力、演技力はずば抜けていて、憧れの存在だった。
何度もシュウタくんの舞台には足を運んで勉強させてもらうくらいに。



そんな人と肩を並べて映画を撮ってもらえるなんて嬉しくて仕方なくて。



「だ～～～！嬉しいっ！っ………華ちゃんに、一番に言いたい…。」



思わず漏れたその名前を奥原さんは聞き逃さなかった。


「本当に大好きね、華のこと。」


「俺はね。まぁ、NGくらってるから一方的な好意な訳だけど。」



そう投げやりに呟けば奥原さんは困ったように笑う。