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タワーマンションの恋人
第4章 * シオン





インターホンが鳴ったので扉を開ければ
思わず、息を飲んでしまった。




「こんにちわー。」

ふわりと香った爽やかな香水の香り。
フチの強いメガネの奥にはキラキラとしたアーモンドアイが主張している。

さらりと艶のある髪は流れるように整えられていて、アッシュが強く綺麗に発光していた。


きっと、女の子の理想がぎゅっと詰め込まれた美少年。
さっき確認した媒体で見た彼より何倍も綺麗で。
一瞬言葉が出なかった。


「入っていい?」

慣れたように部屋を指差す彼の声にようやく反応して、彼を招き入れる。


「お姉さん、可愛いね。元々業界の人とか?」

「え?ううん、違うよ。」

「ふーん。そうなんだ。」

伊達メガネを外した彼の視線は更に強くなる。
18歳とは思えない、色気を感じるのはその視線にある気がして長い時間は直視できない。

「お姉さんと同じように働いてる人、他にも居るけどさ、元モデルとか女優って、多いんだよね。」

「そうなんだ、」

「でも、見かけだけなら、お姉さんが一番可愛い。っつうか、綺麗。さすが大森さんの一押しってだけあるわ。」

まるで自宅のように、自由に部屋を歩き回りながら彼は話す。


「大森さんがさ、すげー可愛い子居るから会ってこいってうるさくて。いくら女をあてがわれても俺は遊ぶの辞めないって言ってんのにさ。」

アイスティーをキッチンのカウンターに置くと
「それ俺の?貰っていい?」

そう言って近くにやってくる。
カウンターを挟んで目の前で彼を観るとやはり綺麗すぎる顔をしていて、驚く。

スラリと高い身長に、細身のデニム、ロングカーデがよく似合って居る。


「今遊ばないと勿体無くない?いつまでもこの人気が続くとも思えないし。」

その言葉を聞いて、意外と冷静に自分を見れてる子なんだな、と感心する。
ただ、己に自惚れているだけじゃない。
この業界の諸行無常をちゃんとわかっているんだ。

「せっかくだから、いろんな人、抱きたいし。」
そう言って、笑った彼の目は宙を捉えていたけどやっぱり鋭かった。




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