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タワーマンションの恋人
第27章 * Tuin der lusten
シオンからの提案を、この状況を、受け入れることが果たして正しい判断だったのか、今この瞬間ですら迷っている。
心のどこかで、逃げていたからかもしれない。
どんなに特別な仕事と持ち上げられて、尊いと言われても、性を仕事にしていることから、わたしは目を背けていた。
心があれば、それは風俗なんかとは違うと思い込もうとしていたのかもしれない。
でも、結局は変わらないのかもしれない。
彼らの要求をできる限り受け止め、性の欲望を叶える。
この欲望を叶えることは、この仕事の本質を考えることになるのかもしれない。
震える指先で服を脱いでいく。
目の前にはシオンがいる。
そして、少し離れた椅子にはリョウマが腰掛けている。
心を持たない、人形としてここに存続することが出来たらどれほど楽だろう。
愛や優しさなんか感じず、ここまで来なければよかった。
今ぐちゃぐちゃと頭で考える必要だってなかったのに。
俺と華がシてるところ、観たいんだって。
あいつ、美的趣向が強すぎてちょっと歪んでるじゃん?
シオンの気持ち、嫉妬や独占欲から愛情を見出していたわたしは、すごく混乱して。
誰かに観せるセックスにわたしは愛情を感じられなくて。
シオンのことも、リョウマのこともわからなくなって。
怖くて、それでも仕事だからと思う節もあって。
事務所からの了承が出れば受けるしかなくて。
なんとなく、見いだせていたやりがいみたいなものが崩れていく気がした。