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タワーマンションの恋人
第6章 * フミヤ
「でも、華はどんどん綺麗になっていくね。肌なんて陶器みたいね。」
「ほとんど外に出ないから、かな。」
食材の買い物は敷地から直結のスーパーやネットショッピングで済んでしまう。
「辛いこととかは、ない?大丈夫?」
「うん、大丈夫。困ったことあればすぐ奥原さんに相談するね?」
そう言って笑ってみせれば、奥原さんも安心したように笑う。
「華は、ちゃんとみんなに愛してもらってるのね。」
「…どうかな、」
「今の笑顔で、なんとなくわかった。ただ、愛されすぎてちょっと重いくらいなんじゃない?」
奥原さんはそう言ってわたしの目をじっと見つめた。
「疑似恋愛ってなんなんだろう。ってたまに悩むときはある、けど…重くはないかな。」
「そういう諸々を含めて、本当に苦しい時は吐き出しなさいよ?」
そう言って彼女は立ち上がり帰り支度を始めた。
奥原さんは、言う前にわたしの心を丸裸にする時がある。
マネージメントという仕事柄によるものなのか、それとも他に理由があるのかはわからないけど。
これから、わたしはもっとこの仕事の沼に落ちていくのだろう。
息苦しくて、ダメになりそうになるかもしれない。
その時も、彼女はわたしの味方でいてくれるのだろうか。
母のようであり、姉のよう。
そんな彼女はわたしにとって唯一無二存在なんだ。
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