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タワーマンションの恋人
第6章 * フミヤ
奥原さんは、コンスタントにわたしの様子を見に来てくれる。
「華、最近外出してないでしょ。」
「あーそうかもしれない。ただ、毎日過ぎるのが早すぎて…そんなの忘れてた。」
「すっかり人気者だもん、華ちゃん。」
そう言ってイタズラに笑う奥原さんは美しく、思わず見惚れてしまう。
ボーイッシュなショートカットながらも品のある雰囲気を纏っている彼女をわたしは羨ましく思う。
「華ちゃんに会いたいって言う子多くて。…だから、最近無理させちゃってるよね。…本当ごめんね?」
「ううん、暇してるよりよっぽどいい。」
「来週あたり外出できる時間取るから許してね。」
その言葉に頷くと、本当にこの部屋から出ていなかったこの数週間を思い返す。
最初の頃は、部屋にばっかり籠もって太ってしまうんじゃないか、なんて心配していたけど、全然そんなこと無く、むしろ痩せていくのだ。
わたしの場合、セックスで体力を消費すると、食欲よりも睡眠欲が勝ってしまう。
そして起きれば、また次の来訪者を迎え、求めあい、また次の来客に備え眠り、体力を回復させる。
そんな生活をしていたら、必然的に痩せていき、奥原さんには多大な心配をかけたらしい。
それからというもの、コンスタントに、というよりは、こまめに奥原さんはうちにやって来る。
奥原さんと接していると、大切にされているな、と実感する。
女という性質を切り売りしている身、イメージとしてはもっと雑に扱われそうなものだけど、この会社は優しくしてくれる。
それどころか、タレントと大差ない扱いで接してくれている。
だからこそ、頑張ろうと思える。
きっとそう思うことが、会社の筋書きなのだろうけど。
例え、手の内が見えてたとしても、大切に扱ってもらえるなら、それに越したことはなかった。
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