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タワーマンションの恋人
第7章 * リョウマ




「はーなっ。おつかれっ!」


小さい頭に大きなハットを乗せて玄関から顔を覗かせる男の子。
今日はいつにも増してご機嫌な様子。
少しタレ目がちの大きな目を黒目でいっぱいにして笑っている。


「リョウちゃん、おつかれっ」

「もう朝からずっと撮影。疲れちゃったよ。」

そう言って振り向き、両腕をこちらに向けるように伸ばし「ぎゅーしてー!」と目尻を下げて言ってくる。
その姿はまさに天使。


そっと近づき彼の身体を抱きしめると、肩に彼の小さい顔が乗る。

「華はいつもいい匂いがするね〜。」
歌うように言うリョウマがそっとわたしの頬にキスをした。


「あ、先シャワー借りていい?」
そう言って離れる彼に向かって頷けば、踵を返しそのまま、バスルームに向かう彼。


彼のお風呂あがりの支度をしながら、深呼吸をする。


「ずっとあのままなら、可愛いのに…」


彼に抱かれるであろう時間が刻々と迫ると、いまだに緊張が走る。
来てすぐにシャワーに向かったということは、もしかしたら、今日はだいぶ長くなるかもしれない。


時刻は21:00を少し過ぎたころ。

タブレットで明日のリョウマの予定を見ると出発は昼前で良いらしい。




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