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タワーマンションの恋人
第7章 * リョウマ
「俺ね、綺麗なものが好きなんだ。綺麗なものだけに、こだわりたい。」
そう話し出した彼の言葉に耳を傾ける。
「こんな顔だからさ、俺小中ってずっとイジメられてて…オカマってよく言われてた。」
「リョウちゃん、顔綺麗すぎるもん。みんな嫉妬するよね。」
「中学の頃、トイレで荷物ぶちまけられた時、初めてキレちゃって。死ぬ気でやり返した。」
彼の繊細で華奢な指が行き場を失くして、組まれては解かれてを膝の上で繰り返している。
「意外と、本気だしたらどうにかなるもんでさ。不細工ないじめっ子たちの歪んだ顔を見てたら、ゾクゾクした。もっと歪めばいい、もっと痛がれば良いって。」
そこで少しだけ深呼吸すると、ふと顔をあげた。
「ただ、そいつら醜かった。美しくない。汚かったんだよね。気持ちが冷静になった瞬間から、触れることすら無理になった。汚らわしい、俺に触れるなって思った。だからね、」
「…?」
「華が好きなんだ。美しい人は、どんな表情でも綺麗。それを証明してくれたのは、華だよ。」
「そんな、」
「例え、涙に塗れても、苦痛で顔が歪んでも。華は綺麗だよ。そんな華を見てるだけで、俺の中での幸福指数が上がる気がするんだ。」
そう言ってわたしの頬に手を伸ばした。
「歪んでるって思った?」
「ううん、リョウちゃんに選んでもらえて幸せって思った。」
そう答えると、驚くほど優しいキスで塞がれる。
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