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タワーマンションの恋人
第7章 * リョウマ
目が覚めると隣にリョウマは居なくて、慌てて時間を確認すると、10時を回ったところ。
完全に寝坊、アラームが鳴らなかったのか、止めてしまったのか。
慌てて身支度を整えてリビングに向えば、すっかりヘアセットまで完璧に整えたリョウマの後ろ姿。
「リョウマ、ごめんねっ…!寝坊しちゃった、」
「あ〜おはよう。よく眠れた?」
振り向いた彼が柔らかく笑った。
「うん、寝過ぎちゃった…」
「ごめん、俺がアラーム止めたの。華、疲れちゃったかなって心配になっちゃって。」
そう言ってゆっくり近づいてくると、そっとわたしの手を取った。
「…痛かったね、ごめん。」
「へ?」
彼の視線の先に目をやると手首はミシン目のように薄く皮が剥け、薄っすら赤く腫れていた。
「ううん、平気だよ。大丈夫。」
「ごめん、あんな嫌がるなんて思わなくてさ?救急箱ある?あったら貸して?」
そのあと、リョウマによって丁寧に消毒してもらった傷。
「跡にならなきゃいいけど。華は色白だから目立っちゃうね。」
心底落ち込んだ顔をするから、思わずフォローしたくなる。
「こんなのすぐ治るよ?リョウちゃん心配し過ぎ。」
そう言うと少しだけ安心したように微笑んだ。
「…俺のこと、嫌いになった?」
そんなことを聞いてくるから、首を横に振る。
「嫌いになんてならないよ?リョウちゃんは、意地悪だけど、本当はすごく優しいんだもん。」
そう答えて、綺麗に手当してもらった手首に触れる。
「優しいんじゃないよ。華には嫌われたくないから躊躇があるだけ。」
そう言ってソファーに腰掛けて少しだけ俯いた。
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