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タワーマンションの恋人
第8章 * ハルキ
「ハルキには、ちょっと負い目があってね…」
そんな話を始めた奥原さんの話はこうだった。
ハルキくんは、その整った容姿と歌、踊り、演技をこなす多彩な才能を買われ、17歳の時、小さな事務所から現在の事務所に移籍してきた。
その時、マネージャーとして面倒をみたのが奥原さんだったらしい。
移籍して1年が経ち人気も出てきた頃、ハルキくんに高校時代、ずっと付き合ってきた彼女が居ることが内々で発覚し、大事な時期だからという理由で奥原さんが半ば強制的に別れさせた、ざっくり言うとそんな話だった。
「…でも、奥原さんはハルキくんのことを思ってしたことなんですよね?」
「まぁ、そうなんだけどね…それから、ハルキはなんとなく掴みどころが無いって言うか…。がむしゃらに仕事を頑張ってるから、逆に不安っていうか…。」
そう真剣に話してくれる奥原さんを見てると、仕事やタレントへの熱意が伝わってくる。
この人のマネージメントを受けた人はきっと幸せだろうなぁ、漠然とそんなことを考えて居た。
「女関係は容認出来ないけど、うちの事務所にはこう言う制度があるよって、話してもハルキは頑なでさぁ。今まで利用したことないの。」
「…え、そんな子…わたしで大丈夫かな…。」
「ハルキは、きっとあれ以来見えない殻とかバリアを作っちゃってるから。それを華に取ってほしいのよ。」
奥原さんの目は真剣そのものだった。
「わたしで良かったら…頑張ってみますけど…自信ないなぁ、」
「大丈夫よ!あのシオンを骨抜きにしてる華様だもん!」
そう言ってわたしの頭をポンポンっと撫でた。
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