この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
タワーマンションの恋人
第8章 * ハルキ
「華に会って欲しい子が居るの。」
わざわざ新しい子をプレゼンしに奥原さんがやってきた。
いつもなら電話で済んでしまうことなのに珍しいことだった。
「ハルキって子なんだけど…」
そう言って差し出されたのは付箋が貼られた何冊かの雑誌。
「あっ、この子。知ってる。」
資料として置いて行ってもらった雑誌やドラマ、ミュージカル、舞台などのDVD。
それを観ていると、目的の人じゃなくても目をひく人が居て、それが彼だった。
「ハルキは多才だからね。色んな仕事してるから見掛けたことあるかも。」
「うん、いつも目をひく子だなぁって思ってた。」
ドラマやバラエティーを観ていると、
にこにこ爽やかで、時にはイジられたりして面白い子という印象なのに、踊ったり、舞台に経てばまるで別人のような目をして仕事をしている。
「なら、華はタイプなんじゃない?ハルキみたいな子。」なんてニヤニヤ言われるから全力で首を振る。
「違いますっ!ただ、目をひく子って認識してただけで…。」
「知らず、知らずに目で追うなんて、意地らいしいんだからっ!華はっ!」
「だから!違うってばー!!」
そんなこと言われたら、会う前から無駄にドキドキしてしまう。
そんなことを思っていると、奥原さんは少し気重そうに、話を切り出した。
.