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ボクは障害者
第1章 1,ボクのこと
僕と運命を共にした双子の兄は、5年前に亡くなった。
兄は僕より重篤だったらしく、生前は入退院を繰り返していたため、実のところ兄との思い出はあまり残っていない。
けれど、台所には今でも母が兄に水を飲ませる際に使用していたトロミ剤が置かれたままになっており、リビングの片隅では痰吸引に使用する吸引器がコンセントに繋がったままホコリをかぶっている。
それでも家中どこを探しても兄の写真が一枚も見当たらないのは、母曰く、写真を飾ると兄のいた時間が過去のものだと実感してしまい辛くなるからなのだそうだ。
兄は僕より重篤だったらしく、生前は入退院を繰り返していたため、実のところ兄との思い出はあまり残っていない。
けれど、台所には今でも母が兄に水を飲ませる際に使用していたトロミ剤が置かれたままになっており、リビングの片隅では痰吸引に使用する吸引器がコンセントに繋がったままホコリをかぶっている。
それでも家中どこを探しても兄の写真が一枚も見当たらないのは、母曰く、写真を飾ると兄のいた時間が過去のものだと実感してしまい辛くなるからなのだそうだ。