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Dreams come true
第1章 私と大樹
彼との思い出は山のようにある。
幼稚園の時、トイレに行きたい事が恥ずかしくて言えなくて、
おもらししてしまった事がある。
汚れた下着の入ったビニール袋を提げてバスに乗ると、
「うわっ!くっせー!」と隣りのクラスの子に意地悪を言われた。
その時大樹は私の手からビニール袋を取り上げその子の顔に押し当てて言った。
「沙理奈に意地悪すんじゃねえ!」
その子を泣かせてまで私をかばってくれた。
小学校の時は、ジャングルジムの中段から落ちて体の側面を強打して
わあわあ泣いている私を抱き起して、
「大丈夫だ!すぐに救急車がくるから!」とおおげさなまでに励ましてくれた。
もちろん、救急車になど乗る必要はなかったが。
中学の時は、一つ上の先輩にバレンタインのチョコを渡した時、
いらないと突き返されて体育館の裏で一人泣いていた私に、
何も言わずにただ隣に座って泣き止むのを待っていてくれた。
そして高校は・・
大樹は気づいていないのだろうか。
私が好きだということに。
幼なじみ、という枠から外してあるということに。