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裸の傑作
第6章 ファインダー越しの夜
龍次郎は和やかに中国茶を啜るばかりで、ちっとも作業を始める気配がなかった。
「あの、今日は絵を描かないんですか。」
訝しんだしの子が口火を切った。
「いいや、描くよ。でもフォトグラファーを待たないと」
「フォトグラファーですか」
「うん、写真家。俺の作業風景を撮りたいって言ってたから。」
「写真家の方は、いついらっしゃるんですか。」
「夕方って言っていたから、もうすぐだと思うけど。」
龍次郎はお茶を飲み干し、海外の雑誌のページを開いた。